第37回「アルエ」BUMP OF CHICKEN

暑くなったり、涼しくなったり、この時期の天候は安定しませんね。そんな空の下、人の心もなかなか安定しないものだなぁと思ってみたりしています。で、今日取り上げるのは、BUMP OF CHICKENの「アルエ」です。

●BUMP OF CHICKENって？
（→公式サイト）

藤原基央（Vo&G,）：1979年4月12日生　秋田県出身
増川弘明（G,）：1979年12月20日生　千葉県出身
直井由文（B,）：1979年10月9日生　千葉県出身
升秀夫（Dr,）：1979年8月10日生　千葉県出身
千葉県佐倉市の幼なじみ4人組。中学3年の文化祭に、藤原・直井・升を含む4人でバンドを組んだ。それが、予想以上に受けたため高校受験終了時にギターに増川を加えバンド活動を続行。1996年8月、Beat Brust in Japan に「ガラスのブルース」で出場。全国大会でグランプリに輝く。1997年、メンバー大学受験のため活動休止。1999年3月、バンド活動を再開。 1999年11月25日、インディーズレーベルで「LAMP」を発売。2000年9月20日、「ダイヤモンド」でメジャーデビューを飾る。2001年3月14日発売の3rd Maxi Single「天体観測」がメガヒットとなる。

■「アルエ」って何？

BUMP OF CHICKENのファンの間では有名な話らしいが、私は、最初「アルエ」って何？　って思った。人の名前らしいということは分かるのだけど、なぜ「アルエ」。これはぜったい意味があるとだろうと、ネットを駆使して調べてみた。そして分かったのは、アルエのモデルは、あのエヴァンゲリオンの登場人物で、1990年代を代表するヒロインといわれている綾波レイだそうだ。なぜアルエなのかといえば、彼女のイニシャルは「R.A」→「アールエー」→「アルエ」だとのこと。謎が解けたところで、やっと歌詞の中に入っていける。

いつか君はブランコに揺られて
いたいけな目を少しふせて

モデルになっている綾波レイには、紅い瞳と空色の髪をもつ14歳、無口で、ほとんど感情を表すことがない、というキャラクターが設定されている。それを考えると、この部分は、彼女のキャラクターを言葉にしたものだ。実在しないからこそ、想像力も膨らむ。

■心の呟きを聞き逃すな！

無口な彼女だが、歌詞の中には彼女の呟きとも取れる発言が2箇所ある。それらの言葉を聞き逃してはいけない。

「私は独りで平気なの」

「嬉しい時どんな風に　笑えばいいか解んない」

人は、時に心にもないことを言うことがある。というか、何かの感情があまりにも大き過ぎると、感情に素直になるより、反対に遠ざけることで昇華しようとするのだ。1番の中に出てくる「私は独りで平気なの」は、心を閉ざした彼女が、人との関わりをシャットアウトするために言った言葉だ。嘘ではないが、突き詰めれば、本当でもない。独りで平気な人なんてきっといない。だって独りで平気なんて淋しいじゃん。

そして、2番になると彼女は少しずつだが心を解いてくる。必死で彼女に呼びかける主人公の言葉が届いたのだろう。ただ、主人公からの猛烈なアプローチを嬉しいと思っても、それに応えられない自分をもどかしく思っている姿が感じられる。そう、人を遠ざけつつも実は誰かを求めていたんだ。彼女が上手に笑える日も近い。

人間関係で悩む人も多いが、同じくらい孤独を感じて悩む人も多い。人の心は割り切れるものじゃないし、安定なんてしない。だけど、それを抱えて人と交わりながら生きていくのが人生じゃないか！　なんてちょっと大きなことを言ってみたりして。