第6回「思い出だけではつらすぎる」柴咲コウ
先週紹介した、福山雅治『虹』が1位に残りましたね。ドラマ効果もあったのかな? そして今週もまた、新しい曲が続々と。夏の終わりだけに『夏の終わり』も再浮上! 個人的には、初登場17位の『気まぐれ道中』坂本冬美が嬉しい感じです。
●柴咲コウって?
(→事務所公式サイト)
(→レコード会社公式サイト)
1981年8月5日生 東京都出身。99年頃から女優としていくつかの番組に出演。2001年の「レッツ・ゴー!永田町」にレギュラー出演。2002年4月〜6月には、「空から降る一億の星」、「夢のカルフォルニア」と2つのドラマに掛け持ちレギュラー出演も。歌手デビューは2002年7月24日。目力には脱帽。
■「中島みゆき」節をどう歌う?
作詞作曲 中島みゆき による「思い出だけではつらすぎる」。Bメロからサビの歌い上げるあたりみゆき節がでてますね。そして、荘厳な音をバックに言葉を必死に歌おうとする柴咲コウの健気さがサビ中の「つらい」という単語をよりリアルにしています。
さて、中島みゆきの曲を歌う歌い手はけっこういます。こちらの中島みゆき提供楽曲一覧を参考にしていただければと。しかし、その中で、今回の柴咲コウのように書き下ろしで提供を受けた歌い手となると数が減るんですよね。これってかなり嬉しいお話でありつつも同じだけのプレッシャーを感じることです。歌唱力が思いっきり試される感じ。
そんな、みゆきソングを繰り返し提供されている人は、やはりそんなに多くなくて、以下の5人くらい。
研ナオコ
日吉ミミ
桜田淳子
柏原芳恵
工藤静香
これは、歌唱力だけでなく、相性も大きいと思いますけど。そんなわけで、今回初めて、書き下ろしソングをいただいた柴咲コウは今後もみゆきソングを歌うことになるかどうか、ちょっと興味のあるところです。
余談ですが、カタカナ名前ってことでは、可能性は高いわけです。ナオコ、ミミ、コウ。
■詩的な歌詞
『思い出だけではつらすぎる』という分かりやすいタイトルに対して、歌詞の中身はとっても詩的。具体的な物品はまったく置かないという徹底した歌詞なのです。イメージさせる物は、ほとんどが形容する言葉+名詞の組み合わせで表現されているところがポイントかも。たとえば、以下のようにね。
むずかしい言葉
風のように距離
雨のように時
さまよった足跡
凍えきった涙
ありえない窓
本当の鍵
寒いニセモノ
義足
抽象的なこれらの言葉を使って、それでも確実に聴き手に映像を描かせているのは立派。
個人的には、「寒いニセモノ」という表現が面白くて好き。すでに、じっくり聴いた方、どんな映像が浮かんでますか?
もちろん、人それぞれだけど、この2つの言葉で確実に海岸線に連れて行かれているはず。
波の彼方へ
引き潮にまかせましょう
そして、海岸線に連れて行くだけでなく、「彼方へ」、「まかせましょう」で「思い出」というものを処理しちゃってます。お見事! でも、出だしで
むずかしい言葉であなたの居場所を告げないで さがせないから
と言っている割に、この歌詞はじっくり読ませる難しい作品です。
公開:2003/09/19 TEXT・みど(c) 2003 RGS680,all rights reserved.