第31回「まっ白」小田和正
「♪春と秋の間に夏を置きました♪」覚えている方、いらっしゃいますか? オフコースの「僕の贈りもの」です。歌詞違ったかな? なんだか、現在放送中の、月9ドラマ「プライド」(主役の名前がハルと亜紀、亜紀の恋人が夏川)につながりません? なんて勝手に思っている私です。ってことで本日紹介するのは、すっかりソロで活躍中の小田和正「まっ白」です。
●小田和正って?
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小田和正:1947年09月20日生 神奈川県出身
1969年オフコース結成。1970年04月05日、シングル「群衆の中で」でデビュー。1982年活動を休止。1984年活動再開。1989年オフコース解散。1989年10月18日、ソロ第一弾シングル「Little Tokyo」発表。フジテレビドラマ「東京ラブストーリー」の主題歌となった1991年2月6日発売のシングル「ラブ・ストーリーは突然に/Oh! Yeah!」が、シングルCD史上最高の270万枚を売り上げる。1992年01月25日、第一回監督作品「いつかどこかで」公開。1998年「緑の街」全国シネマツアー開始。2000年12月31日、横浜八景島シーパラダイスにてカウントダウン・ライヴ・イベントを実施。2002年04月24日、ベストアルベム「自己ベスト」発表。
■まっ白の意味とは?
「まっ白」という言葉を聞くと、いろんな想像ができる。例えば、花嫁さんは、まっ白な衣装を着て嫁ぐ。それは、あなた色に染まるってこと。←最近じゃ、そうでないこともあるけど、相変わらず衣装は白。そして、緊張したときに頭がまっ白になるなんて言い方もする。契約を白紙に戻すとか。そう、白という色は、「無」の状態を示すことに使われる。そして、ここで歌われている「まっ白」も、「無」に戻そうとする恋を歌っている。 ただ、この「無」にし、まっ白にすることを、このふたりはあまり願っていないような、納得していないような、なのだ。その感覚が、「まっ白」の「ま」を「真」表記しなかった理由だろうか? ちょっと強引かもしれないけど、そう感じた。
それでもまた始まろうとしてる その時を待っていたように
愛は とまどうふたりの なにもかも まっ白にして
それでもまた始まろうとする。この部分は、まだお互いに未練があると取れる。何がこのふたりの障害になっているのかが明確に書かれていないのだけど、もしかしたら、気持ちの確認の足らなさなのかもしれない。「置き去りにされるだけの恋」は何を表すのか? これも明確になってないのだけど、考えてみた。遠距離恋愛? 不倫? うーん、ピンと来ないんだよね。そんなわけで、この歌詞のサビで何度も使われる「悲しいほどの想い」は、聴き手に託されているのかもしれない。
恋愛は割り切れない。愛する思いも割り切れない。だから、明確な理由などなく離れることもある。そして、その別れを、雪のせいにして、まっ白に掃除してしまおうとする。なんだか、悩める恋人たちをもっと悩ませてしまいそうな気がするなぁ。ただ、簡単に割り切ることができる恋愛は、真の恋愛とは呼ばないのだろうな。
■彼だから許されるピュアな表現
歌詞の表現にも時代性があって、近頃は、生々しい表現も平気で使われるようになった。また、それが目新しく見えたり、斬新に見えたりもするのも事実だ。だけど、変わらずにあり続けるものもある。それは、存在として圧倒的に強い。例えば、この表現。
過ちも 許されない嘘さえも 時は消してくれたけど
今にしてまだ ほんとうの愛は 分からないみたいだ
ファンの方に怒られるのを覚悟で書くと、「今にして本当の愛は分からない」って小田さん、おいくつでしょうか? なんてことになってしまう。だけど、私も20年くらい前にオフコースの曲でじんわりしていたひとりとして、彼にはこのままでいて欲しいという気持ちが強いし、これこそ、彼の味なのだと思っている。そして、人は実は、本当の愛なんて永遠に分からないものなのでは? なんてことも考えたりする。そうすると、この表現を耳にすることで安心する人だっている。いくつになっても「愛しては失敗し」を繰り返してしまう人もいるし、我慢の上に、愛らしきものを作って自分を言い聞かせている人もいる。だから、「いいんだよ、過ちや嘘は、時が処分してくれるし、本当の愛は永遠に探せばいい」と言ってくれてるのだ。そんなふうにポジティブに受け取ってみたい。
公開:2004/03/12 TEXT・みど(c) 2003 RGS680,all rights reserved.