第7回「一人ジェンガ」矢井田瞳
7曲が新曲という中、福山雅治『虹』が3週連続1位。頑張ってます、福山。さて、今週の順位の中には、CHAGE and ASKA、STARDUST REVUE、浜田省吾と大御所の名前がありますね。メジャーミュージックシーンで音楽を続けていくこと、ファンをひきつけ続けることはとても大変なこと。聴き手は、いつだってわがままで、送り手の都合なんで考えてはくれない。そんな彼らを夢中にし続けているアーティストには脱帽だなぁ。
●矢井田瞳って?
(→青空レコード)
(→レーベル公式サイト)
1978年7月28日 大阪生まれ A型 通称は「ヤイコ」
2000年7月14日、「B'coz I Love You」でメジャーデビュー。デビュー当時は、同じく1978年生まれで1998年5月デビューの椎名林檎と比較されることが多かったが、いつしか、ヤイコ節が定着。林檎より健康的に、鋭い言葉を操りオリジナル性を発揮している。
■恋は、いつでも「ジェンガ」の様
この例え、うまいと思ったね。あんなに危ういのに、上に上に進まなければならない積み木ゲームは、ほんと恋に似ているよ。それも、重ねるために、足もとのバーを抜いていく。これは、もう終焉に向かう恋を昔の思い出でひたすら繋いでいるかのようではないですか? そう思いません? ってここまで書いて、ふと。みなさん、ジェンガはやったことありますか? もし、何?って思う方がいたら、上の写真を参照あれ。ちょっぴり魚の骨のように、あらゆるところが抜けた塔。順番に下の方の一本を抜いて、上に積んでいくという積み木ゲーム。そして、崩した人が負け。単純だけど、はまるとやめられない。
足らん心のパズルで
ジェンガのように崩れるわ
と、ヤイコは歌っている、足らん心は、抜けてしまった塔の足もとの歯抜けの場所、やがてそれは、ガシャっと音を立てて崩れるのだ。あぁ、儚い。
■この曲で歌う恋は
やや哀愁を感じる歌い方で、終わりを向かえる恋を歌うヤイコ。この恋は、いい恋だったのか? 愛した男は誠実な奴だったのか? うーむ、正直微妙だ。というのも、この歌詞の中に、相手の男のキャラクターが出てこないのだ。タイトルが「一人ジェンガ」というだけあって、まるで、勝手に好きになって、勝手に恋をして、勝手に終わりを迎えるようにも思える。
強がる度にもろく曲がる
こんなにあなたを求めるのに
会いたいけど会えないの
いま会ったら余計辛い
強がったが故に、うまくいかなくなった恋ならば、それは相手に対して自分をさらけ出せなかったということ。
そして、あなたを求めるのに会えないと言い、会ったら余計辛いという。辛いのは自分勝手な言い分であって、相手はそんなこと微塵も考えてなかったりしてね。>ちょっと意地悪な考え方かな?
そう、この曲の中には、演歌のテイストが含まれている。耐えるとまでは行かないけど、自分の中に気持ちを押し込める恋。ひとり完結モードに入っているんだよね。
恋をすると、少し変なくらいに大胆な行動をとった方がいいっていうけど、それってちょっと真実。恋をしても冷静を保ち、理性をなくせないと、相手に気づいてももらえぬまま、納得しちゃって、恋の醍醐味を味わえないよ。狂おしく相手を求める派の私としては、もったいないと思っちゃう。でも、世の中には、この歌の女性のように、奥ゆかしい女性がたくさんいることも知っているよ。しかし、部屋で一人ジェンガをする女は想像すると結構怖いな。
(c) 2003 RGS680,all rights reserved.