第13回「僕と不良と校庭で」山崎まさよし
先週と打って変わって7曲がニューエントリー。激動の順位です。そんなわけで、あれもこれも気になって取り上げる曲を決めるのにすんごく悩みました。でも、心の焦点を絞って決定!
●山崎まさよしって?
(→事務所公式サイト)(レコード会社公式サイト)
1971年12月23日生、A型、滋賀県草津市生れ 山口県防府市育ち
1993年上京、桜木町に住む。これがその後の名曲「One more time,One more chance」に繋がるのでしょう。1995年9月25日シングル「月明かりに照らされて」でデビュー。1996年、映画「月とキャベツ」に主演。これまでに17枚目のシングルと8枚のアルバムを発売しつつ、俳優としての活躍も行う。所属事務所であるオフィスオーガスタのメンバーと野外イベントライブ「Augusta Camp」を毎年行っている。
■メール時代に挑戦する姿勢の格好よさ
シンガーソングライターには、彼ら自身のカラーがあり、それ如何によって存在を問われるものである。そういう意味では、山崎まさよしは、濃い存在感を持つアーティストである。そんな彼だから、このメール横行時代に絵葉書なる単語を見事に使ったのだ。郷愁を匂わせながら。確かに、古い友人のメールアドレスなんて知らないしね。もしかしたら引越ししているかもしれないけど、知っている住所が実家のものであれば、絵葉書はどこからでもやってくる。どこか遠い国からでも届くのだ。
最初の2行で、現代という感覚を一気に吹き飛ばし、生まれ育った実家の自分の部屋を思い出させてくれる。
突然の君の便りは懐かしい不器用な文字と
どこか遠い国の空の絵葉書
そして、まだ何かを決めることができずに過ごしていた日々。未来が自由でありながら、結構悩んでいた日々を思い出として共有できるのは、その時隣にいた友人なのかもしれない。同じレベルで、同じくらい情けなく、それを隠すことなく話せた友人。そんな友が、ひとりでもいれば、携帯にメールが来なくたって全然さびしくないし、世の中と繋がっていたい症候群になどならないだろう。毎日会うことや、たくさん話すことや、もちろんメールの数が友情の深さではないことは、多くの人はすでに気づいているはず。一年に一度くらい会ったり、数年に一度くらいしか会えなかったり、それでも、過去を共有する友は、なによりの宝だ。
あの頃やがて僕らも大人になると思ってたけど
はっきりとした未来は描けずに過ごしていた
■誰もが違う人生をひとつずつ持っているから
人並みも月並みも、その幅はかなり広い。そもそも人並みの基準なんてありゃしないのだ。多くの人が思う「自分の人生は普通である」という感覚を分かりやすく伝えるために、彼はこれらの言葉を使ったが、そんな日々にもちゃんと報告するだけのことがある。そして、この主人公がまだ迷う時があるということをも伝えることが何よりの報告なんだろう。
そして人並みに恋もして月並みな悲しみも知ったけど
まだ僕は過ぎてゆく日々に迷い残してる
そして、彼は街の写真を添えて返事を書く。これ、もちろん写メールじゃないよね。山崎さん。ここで、携帯メールやパソコンメール使われると辛いからな。是非、封書で送っていただくことを願います。
退屈な世界史より風に揺れてる窓の外ずっと見てた
世界史という言葉で、高校時代の思い出であることに限定するところが憎いね。
最後に、この曲のタイトル「僕と不良と校庭で」はポール・サイモンの「僕とフリオと校庭で(原題:Me And Julio Down By The Schoolyard)」をもじったものらしいです。フリオと不良かぁ。座布団3枚!
「僕とフリオと校庭で」については、こちらに解説があります。
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