第27回「街角-on the corner-」ゴスペラーズ
男性のコーラスと言えば、「内山田洋とクールファイブ」、『そして神戸』とか好きだなぁ。「RATS&STAR」の『め組のひと』もいいなぁ、なんて思い浮かべてたりします。が、それはさておき、最近、男性アカペラグループが活躍してますね。そんな一組「ゴスペラーズ」をご紹介。
●ゴスペラーズって?
(→レコード会社サイト)
村上てつや :1971年04月24日生 大阪府出身
黒沢 薫 :1971年04月03日生 東京都出身
酒井雄二 :1972年10月05日生 愛知県出身
北山陽一 :1974年02月24日生 青森県出身
安岡 優 :1974年08月05日生 福岡県出身
1991年、早稲田大学のアカペラ・サークル「Street Corner Symphony」として結成。1994年8月15日ファイルレコードよりミニアルバム『Down To Street』をリリース。メンバーチェンジを経て、12月21日キューンレコードよりシングル『Promise』でメジャーデビュー。1996年よりアカペラライブツアーを開始。2001年3月7日に発売された16枚目のマキシシングル『ひとり』がオリコン第3位にランクイン。初の完全アカペラ曲のベスト3となる。そして、「街角-on the corner-」は、JRAの50周年記念ソングとして2004年1月1日からオンエアされている。
■声という楽器を武器にして声を歌う
アカペラはけっこう地味なものというイメージがあった。だけど、彼らの登場でかなりイメージが変わった。声は生楽器だ。しかし、最近はレコーディング技術の進歩により、一音ずつ音を繋ぐことでもCDは出来上がってしまう。その作り方を否定することはしないけど、その一音ずつ繋がれた文字という音に気持ちはあるんだろうか? とは思う。そんな中、彼らの声にはちゃんと魂がある。声が武器なのだ。そんな彼らが声について歌っている。
ふいに僕は街角で声を聞いた
それはあの日の君が呟いた遠いさよなら
忘れかけた何かを
君の声が気づかせた
声は映像より、時に強い印象として残る。その時、吐かれた言葉の意味や口調も含め忘れられないものとなる。あの日僕が聞いた君の「さよなら」は、囁きだったのかもしれないけど強いものだったのだ。忘れかけた何かを気づかせてくれるほどに。
声を武器として歌う彼らに声をアイテムとして使うあたりは作詞家の歌詞らしいなとも思うけど、タイトルは「街角」なので、あざとさは感じない。気づく人が気づけばいいというスタンスが格好いいのだ。
そして、
今日もどこかで街角の物語
誰かが誰かにめぐり逢う
そして別れも街角は知っている
あの日のさよならも そっと見ていたね
ふと我に返った。誰も見ていないと思っていても、街角が見ているということに。あんなことやこんなことも、街角に見られていたのだ。ただ、「壁に耳あり、障子に目あり」と繋げると色っぽさがなくなるから、それはやめておこう。
■JRAの50周年記念ソング
2004年、彼らはメジャーデビュー10周年を迎える。「ひとり」がヒットしたのが、2001年だから、7年間は地道に歌い続けていたということだ。
めぐり逢い紡ぎ
つづれ織る日々を生きていく
この部分に、彼らの7年+3年の日々を感じる。朝が来て目を覚まし、労働をして夜を迎え眠る。そんな風に過ぎる一日は何気ないものだが、日々の中で、「いつか」という未来を考えたとき、多くの人は不安を感じる。彼らの7年には、きっと多くの不安があったと思う。いくら歌うことが好きであってもそれだけで生きていけるわけではない。そして、もちろん2001年を過ぎた今も、同じくらいの不安を感じつつ、未来を見ていると思う。100%の安定なんてこの世にはないし、もしそう感じてしまったのなら、そこで前進することや人生の醍醐味を味わうことは終わってしまう。だから、常に感じる不安という危機感が、彼らの声の魅力となる。
最後に、この曲は「5人で歌い継ぐ壮大なバラード」と紹介されている。これまでの10年を歌い継いだ結果ともとれる。そして未来への指標ともなっている。
調べてみて分かった彼らの出身地は、面白いくらいばらばらだった。それぞれの風土で培われた声のコラボレーションというのも彼らの良さなのかもしれない。
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