似顔絵マンガの新スタンダード:TVウォッチャーの逆襲(荒井清和)
「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載中の芸能ネタ四コママンガの書籍化。
古くなった時事ネタをフォローするためもあって、各話に糸井重里率いる「ほぼ日男子部」の解説(雑談)が付いている。
四コママンガ本の宿命である「立ち読みでいいや」、Web連載モノの宿命「Webで見れるからいいや」を回避する役割を、この解説ページが担っているんだな。
でもこの解説、かなり辛口というか平気で横の似顔絵に対し「似てない」とか言っちゃってる。まあ、そこが本当の雑談風で面白いんだけど。
TVウォッチャーの逆襲ってこんな本
細かいことだが、この手のマンガのお決まりとして芸能人の名前はカタカナ表記されてるけど、解説文ではふつうに漢字表記されているのね。ちょっと気になったのだが、まあ芸能人から訴えられることもないだろう。
そう、このマンガ、「ほぼ日」で連載されてるだけあって、かなりその辺の芸能ネタにともなうリスクも考えてあることに気づいた。
まず、ジャニーズの人は登場しない。これだけ芸能ネタを話題にしてるのにジャニーズを描いてないというのは、意図的に違いない。登場人物にお笑い芸人やスポーツ選手が多いのも、ネタとしていじっても本人サイドから苦情が来る可能性が低いからだろう。
まあ、そうでなくても毒のあるネタはないので、いじられる芸能人もそのファンも安心して読めるマンガなのだが。
荒井清和の似顔絵マンガは、似顔絵で笑わせようとしてない点と、似てない似顔絵に対して言い訳してない点がすばらしい。似顔絵のインパクトに頼らず、絵はあくまでも記号としてネタで勝負する姿勢がステキ。そして、たぶん自分では納得いかない絵もあるだろうが、そこで「似てねぇ」みたいな自分ツッコミを入れたりしないところが潔い。
そんな荒井清和の書籍版「TVウォッチャーの逆襲」は、一応同業者(※)の私にとっては偉大な先達によるマイルストーンとなるものかもしれないな。
※私も芸能似顔絵ネタを雑誌「月刊テレビジャパン」(東京ニュース通信社)に連載してるので、同業者と言わせてもらっちゃいました。
キーワード:ほぼ日刊イトイ新聞 糸井重里 荒井清和 TVウォッチャーの逆襲
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