「下流志向」のネタ元です。:オレ様化する子どもたち(諏訪哲二)
「下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち」(内田樹)という本が売れている。
大学教授による講義録だそうで、「バカの壁」みたいな本なのかな。識者が専門外の事も含め好き勝手にしゃべってるけど面白く、目からウロコが落ちるようなところもあり、タメになった気分になれる本じゃないかと勝手に推測している。
その本の参考文献とされているのが「オレ様化する子どもたち」(諏訪哲二)だそうである。ちょっとお堅い文章で読みやすくはないのだが、かなり刺激的な内容だった。著者は2001年に定年退職した教師で「プロ教師の会」代表。この本は2005年の出版。
「下流志向」でも引用されているという子どもたちが「オレ様化」した理由とは、近代化の中で子どもたちが消費者となってしまったからなんだとか。
学校においても子どもたちは自分が教えられるという客体ではなく、授業を受けてやるという主体である消費者となった。消費者であるから、自分が損しないよう「商取引」における「等価交換」の関係を常に意識している。そのへんが子どもたちの「オレ様化」につながっているらしい。
たとえば、悪いことをして叱られても、そこで受けるであろう罰のレベルが自分の納得できるレベルでなければ、「等価交換」にはならないと思い、やったこと自体を認めない(ウソをつく)ような生徒が増えているんだとか。
そういった例を元に、「等価交換」の関係が教育の現場に持ち込まれたことにより子どもたちが変わってしまった事実を、著者はうまく説明している。
また、一時期はやった個性偏重の風潮に対しても、「個性化」よりも「社会化」がまず必要と著者はうまく釘を刺している。
俗に「個性」を大事にしないと「個性」が潰されてしまうと危惧する人が日本には多いが、市民形成(「社会化」)のプロセスで潰されてしまうような「個性」は潰されるべきである。
という部分にはわたしも全く同感である。
キーワード:オレ様化する子どもたち 諏訪哲二 内田樹 下流志向
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