第24回「Jupiter」平原綾香
昨年12月23日に、「めざましテレビ」で生歌を披露した平原綾香。現役音大生としての話題も多い。そんな彼女が歌うのは、クラシックに歌詞をのせたもの。この新しい試み、勇気のいる選択だったのかもしれないな。
●平原綾香って?
(→公式サイト)
平原綾香:1984年5月9日生 東京生まれ
洗足学園音楽大学のジャズ科に在籍する現役音大女子学生。クラシックのサックスからジャズのサックス奏法へと幅を広げ、同時にボーカリストとしての才能も発揮。6歳から11年間松山バレエ団に所属した経験もあり。表現力の強さのポイントはここにあるのかもしれない。
■新しい切り口で
クラシックの曲に歌詞をのせてJ-POPとして歌ってしまう。これは新しい発想だ。クラシックは、他の音楽とは一線を画し、庶民を寄せ付けない何かを持っている。これを平原綾香は19歳にして、うまく融合した。
愛を学ぶために 孤独があるなら
意味のないことなど 起こりはしない
つまり、人々が怯える「孤独」は意味のないことではない。と歌っている。孤独は正直、意識すると怖い。だけど、そこから生まれる何かを感じられるくらい冷静でいたいものだ。かなり理想だけどね。
普遍的な愛を歌う歌詞。正直、このメロディに細かい状況や人物の設定をつけられたら、魅力は半減してしまうだろうな。だから、これはひとつの形として正解なのだろう。彼女の低い声も説得力を増すものとして欠かせない魅力となっている。
で、この「Jupiter」。日本語では木星。作曲家G.Holstは『惑星』として、
1.Mars, the Bringer of War
『火星、戦争をもたらすもの』
2.Venus, the Bringer of Peace
『金星、平和をもたらすもの』
3.Mercury, the winged Messenger
『水星、翼のついた使者』
4.Jupiter, the Bringer of Jollity
『木星、歓びをもたらすもの』
5.Saturn, the Bringer of Old Age
『土星、老年をもたらすもの』
6.Uranus, the Magician
『天王星、魔術師』
7.Neptune ,the Mystic
『海王星、神秘主義者』
の曲を作っている。彼女が今回選んだものは、「Jupiter, the Bringer of Jollity
『木星、歓びをもたらすもの』」。個人的には、「Mercury」「Venus」も歌って欲しいし、「Mars」で今の時代を切って欲しい気もする。でも、2番煎じっぽくなるのかなぁ。
■「あやや」じゃなくて「あーや」です
彼女の公式サイトの日記を見ると彼女の人となりが見えてくる。なんと、彼女は自らを「あーや」と呼んでいるのだ。「あやや」は人気アイドル松浦亜弥、そして、彼女は綾香だから「あーや」。もしや、学校でも「あーや」と呼ばれていたりして。歌っているときは、とても大人っぽく、艶っぽい彼女だが、ここの日記を見ると、歌っている時の姿とは、違う彼女を感じられるよ。そして、その差が、クラシックとJ-POPの差と似ていて「ふむ」と思ってしまう。
そして、あーやは、自ら作詞作曲も行うシンガーソングライター。ライブでは、自作の歌も披露しているよう。デビュー曲がクラシック曲ということで、かなりのインパクトがあった分、2月18日発売予定のアルバムへのプレッシャーもあるのかなと思うけど、基礎がある彼女だから、ニュークラシックという世界をうまく作ってくれるだろうな。そして、そう期待する。
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