プチレビュー

テキスト&イラスト・芦之由
2005/04/17

本プチレビュー:「100パーセントの闘争心 日本女子バレーの栄光、挫折、そして再生」(吉井妙子)

上戸彩主演ドラマ「アタックNo.1」が始まった。わたしはこのドラマにかなり期待している。上戸彩のかわいいユニフォーム姿を見たいとか、宮地真緒、遠野凪子など女子高生役はどうかという面々を突っ込みたいとかいうのもあるが、それとは別に思うところがあるのだ。それは、このドラマを見てバレーボールをやりたいと思う人が多く出てくることだ。

イタリアのピッチニーニ選手はアニメ「アタックNo.1」がきっかけでバレーを始めたというのは有名な話だし、中田久美・大林素子世代の多くの選手も、「アタックNo.1」に影響を受けているようである。
ということで、ドラマ版「アタックNo.1」をきっかけにして次代を担うバレーボール選手が多く生まれると、女子バレーファンとしてはうれしいのだ。

女子バレーイラスト

最近テレビ局が盛り上げてくれたおかげもあって、バレー人気は復活したように思える。人気先行で実力が伴っていないとか批判もあるかもしれないが、話題になるのは悪くはない。
何より全日本女子は、シドニーオリンピックで失った出場権を、アテネオリンピックで取り戻した。このことがどんなに大変なことだったのかは、この本「100パーセントの闘争心 日本女子バレーの栄光、挫折、そして再生」を読めばよく分かるだろう。「代表権を失う→人気が落ちる→選手のモチベーション低下」という負のスパイラルを、正(プラス)のスパイラルに変えることができたのは、幸運であり奇跡だったのかもしれない。

アテネのオープンカフェで涙を流す全日本女子キャプテン・吉原知子選手の描写から始まるこの本は、サブタイトルにもあるように日本女子バレーの再生の現場に迫ったドキュメントだ。
吉原は「一度枯らしてしまった花は、どんなに栄養をやっても二度と咲かないでしょ。再度、土を耕して種を蒔くことから始めなければならない。オリンピックも同じことなんです。」とオリンピックに出場できなかった4年間の空白を埋めることの大変さを語る。
しかし、彼女たちはたった4年で「負の遺産を精算し、歴史を繋ぎ合わせること」ができたのだ。

そんな選手達の頑張りや苦悩が分かるこの本は、現場に密着している作者だからこそ書けるような裏話もあったりして、興味深いものだった。
アテネオリンピックでの結果は不本意なものだっただけに、ハッピーエンドのサクセスストーリーではない。しかし、だからこそ訴えかけてくるものも大きい。
淡々と事実を追った内容なので感動を求めて読むと期待はずれかもしれないが、それでも思わず目頭が熱くなる個所も多い。

スポーツ選手の日々の努力はわれわれ常人の計り知れないものがあるようだが、それにしてもこの本からうかがえる彼女たちの姿はすさまじいものだった。オリンピックのときにはほとんどの選手が満身創痍(そうい)の状態だったようだし、100パーセントの闘争心どころか体力・気力の100パーセントを超えた部分で彼女たちは闘ってたんだな。そんなことも実感できる本だ。

オススメーター:★★★★☆
(図書館で借りて読みました)

100パーセントの闘争心 日本女子バレーの栄光、挫折、そして再生
吉井妙子 著
文藝春秋
2004年12月発行
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