本プチレビュー:「バリバリのハト派—女子供カルチャー反戦論」(荷宮和子)
何かの本を読んで、「ああ、この人は自分の言いたかったことを言ってくれている」と思ったことのある人は多いだろう。なんとなく感じていた思いや、ちょっとひっかかっていた事象なんかを、うまく言葉にすくい上げている文章を見ると、「ああ、コレだコレ、わたしの考えていたのは」と感じて、作者や登場人物にシンパシーを感じたりするよね。
わたしにとって荷宮和子という人はそういう作家で、彼女のすくい上げた言葉のひとつひとつに共感したり、感心したりしている。
たとえば、この本の中にはこんなフレーズが出てくる。
- 無知で傲慢で(潔癖主義で)屈託が無くて無神経なマジョリティ
- 「強きを助け弱きをくじく」日本のマジョリティ
- 「皆と同じはイヤだけど皆と違うのはもっとイヤ!」
これらは、今の若者たち(といっても主に団塊ジュニアあたりを想定)を表した言葉として、うまいところをついていると思う。なにより、こうしてフレーズ化することにより、一つの事象が明確な輪郭を持って浮かび上がる感じがするからね。

でも、こうしたフレーズを並べられて、分かったような気になってしまうのも危険だ。
一度作者に共感を覚えると、後に出てくる文章すべてが、あらかじめ自分もそう思っていたことかのように勘違いしちゃうこともあるから気をつけないといけない。
人っていろんな物事に対して、常に白黒つけて考えている訳じゃないから、こういう本を読んだときは、本当の自分の心の声を聞いてみるチャンスとも言えるだろう。常に作者の言いなりになるのではなく、ね。
「女子供カルチャー反戦論」と称したこの本だが、既出の原稿の寄せ集め感は否めないのと、論理の展開の詰めが甘い部分も目立つ。でも、そこが逆に、読者に考える余白を与えてるようにも思える(良くも悪くも作者の言いなりになりにくい)。なので、反戦とか今の日本の社会についてとか、重いテーマを考えるきっかけのひとつとして、この本はいいテキストになるはずだ。
この本に共感できてもできなくても、本を閉じてもう一度自分の頭で考えることが大切なんだよね。
オススメーター:★★☆☆☆(第1部だけなら★★★☆☆)
(図書館で借りて読みました)
バリバリのハト派
女子供カルチャー反戦論
荷宮和子 著
晶文社
2004年10月発行
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