どっちの歌謡ショー

テキスト&イラスト・芦之由
2004/11/13

対決003:独立戦争 vs メリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよ

2曲の隠れた名曲を対決形式でリコメンドしていこうというこのコーナー「どっちの歌謡ショー」。第三回は1990年ごろの硬派女性ロッカー対決です。

セレクトしたのはこの曲っ!
独立戦争(鈴木彩子)
 VS
メリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよ(川村かおり)

独立戦争ジャケット独立戦争
鈴木彩子
作詞:高見沢俊彦 作曲:高見沢俊彦
デビューシングル VICTOR
1990年5月21日
[→amazon商品ページ]

 

メリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよジャケットメリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよ
川村かおり
作詞:KAORI/高橋研 作曲・編曲:高橋研
4thシングル PONY CANYON
1989年9月21日

 

今回はポスト中村あゆみとでもいうような、ハスキーボイスでカッコよくてカワイイ女性ソロ・ロックシンガーを取り上げてみました。お二人とも今でも活動しているようで、何よりです。
ちなみに鈴木彩子は現在「サイコ」として、川村かおりは現在「SORROW」というバンドで活動しているようです。

■鈴木彩子は名前がまぎらわしい? その後の知名度では川村かおりかな。

○鈴木祥子でも鈴木さえ子でもなく、鈴木彩子(すずき・さいこ)です。似た名前の人が多くてまぎらわしいですが、でも逆にそれで覚えられるというのもあったでしょう。鈴木祥子ファンも鈴木さえ子ファンも、あるいは鈴木聖美や鈴木結女(すずき・ゆめ)ファンさえも鈴木彩子の存在は気にはなっていたと思います。レコード屋に行くと近くに並んでますから。しかし、そんな名前の似た人たちとは全く違った彼女の音楽は、愚直なまでのストレートなロックでした。ある意味時代錯誤ともいえるその音楽性ゆえか、大ヒットには結びつきませんでしたが、そのストレートなメッセージに心とらわれた人も少なからずいたはず。だからこそ今でも歌い続けていられるのでしょうかね。

○川村かおりも名前は平凡ですが、「神様が降りてくる夜」が「やまだかつてないテレビ」で使われて大ヒットという意外な展開を見せました。アウトローな歌詞をストレートなロックに載せて歌う彼女は、鈴木彩子同様そんなに大ヒットするタイプのシンガーではないはずだったので、当時のブレイクは意外でしたね。「神様が降りてくる夜」のヒットの後は、シングルで数曲ヒットを飛ばし、JALのCMソングを歌い自ら出演まで果たしています。「♪ア〜イル・ビー・ゼア」ってやつね。今知ったんですがその「アイル・ビー・ゼア」って曲はフォー・トップスという60年代に活躍したグループのカバーだそうで、英米それぞれのチャートで1位を記録した曲なんだとか。まあ、そんなわけで、知名度としては川村かおりの方が高いでしょう。

鈴木彩子&川村かおりイラスト

■アルフィー・高見沢お得意の大仰さはこのころから健在

○川村かおりのデビュー曲、1stアルバムは辻仁成のプロデュース。まあ、ECHOES(辻仁成のやってたバンド)の楽曲にも共通する、ちょっとイタイくらいな純粋さ、愚直さが川村かおりに合っていたともいえるのだけど、いかんせん内省的な暗い楽曲が多すぎました。
2ndアルバムからは中村あゆみも手がけた高橋研がプロデュースするようになり、ポップさが加わって「神様が降りてくる夜」のような取っつきやすい楽曲も増えることに。そんな2ndアルバムに収録された「メリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよ」は、ポップでありながらも、川村かおりの中に同居するハードさと内省性を感じさせる彼女にピッタリの曲だといえるでしょう。

○鈴木彩子はアルフィーの高見沢俊彦のプロデュースによる、この「独立戦争」でデビュー。タイトルが大仰ですが、タイトルだけでなく曲も詞も大仰に仕上がっています。前奏や間奏でおおげさなリフをかますという高見沢お得意のパターンはこのころから健在ですね。歌詞も恋愛のことから世界平和にまで飛躍する大胆さ。この時代にして時代遅れなロックっぽさ満載の曲だったのですが、逆に今でも色あせないように感じられます。15年前の陳腐さも20年間の陳腐さも今から見れば同じじゃん、みたいなノリですかね。
ちなみに1stアルバムのタイトルは『天地創造』とこれまた大仰です。

■特選フレーズ

○独立戦争

青空には雲が流れ
地上には花が咲いて
みんなみんな知り合いならば
国境なんていらないさ

理想論、と人は笑うかもしれないが、理想を叫び続けることを忘れてはいけないのかもしれない。このあと「Let's Stop The War」とくり返し歌われるが、今の時代にもう一度かみしめてほしい歌詞である。

○メリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよ

あぁもしも羽があっても
僕は空を翔びはしない
言いたいことの半分もまだ
言えてやしないんだ

メリーゴーラウンドに乗っているように人生も浮き沈みがあるけれど、僕はずっと君と同じ目線でいたいな。と勝手にこの曲の歌詞を解釈してみた。コミュニケーションがこの歌詞のテーマとも思える。コミュニケーションの断絶が問題視される今の時代に、もう一度かみしめてほしい歌詞である。

■おかしい応援団

○メリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよ

この曲の中に出てくる、学校をさぼって制服のまま遊園地ってシチュエーションには憧れましたよねぇ。もちろん男の子と行ってもいいんだけど、それよりかおりちゃんと行きたかったって感じ。彼女が「僕」って歌うの聴くとゾクゾクしちゃいません? もうメリーゴーラウンドだろうがなんだろうが一緒に…(なんかきわどくなってきたので以下省略)(匿住所:チェブラーシカ)

○独立戦争

SAVO(鈴木彩子の愛称)の原点ともいえる「独立戦争」はメッセー性もあってカッコイイ曲だったよ。デビュー当時はアイドル的な売り出し方をされてたけど、それでもけなげに歌う姿にロックを感じたね。同じ宮城県出身として、東北楽天ゴールデンイーグルス(大仰な名前はSAVOの曲に通じるかも)を一緒に応援しましょうね。(仙台市・サイコさいこー!)

■Google検索結果対決

「独立戦争 鈴木彩子」での検索結果:約1,130件
「メリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよ 川村かおり」での検索結果:約169件
タイトルの長さも原因か「独立戦争」の圧勝。アーティスト名での検索でも「鈴木彩子」約4,900件、「川村かおり」約4,420件と鈴木彩子が小差ながらリード。あ、でもね、「川村カオリ」(今はこの表記)にすると約6,740件でした〜。

■ファイナルリコメンデーション

○独立戦争

国境の壁を心の壁に見立て、恋愛の話を戦争反対へのメッセージに昇華させるという大げさな曲ですが、そのスケール感がやはり聴き所です。この曲に込められた「熱い思い」がやがて心や国境の壁を溶かすことを信じて、「Let's Stop The War」と叫び続けましょうよ。ほら、そんなにしらけた顔してないで。

○メリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよ

たたみかけるような疾走感と、思春期特有の寂寥(せきりょう)感が同居しているところがこの曲のポイントです。彼女のヒット曲しか知らない人も、ぜひこの曲でもう一度川村かおりというシンガーの魅力を再認識してほしいですね。

そんなわけで、1990年ごろの硬派女性ロッカー二人を取り上げてみました。二人ともハーフっぽい美形でもありましたね。川村かおりは本当にハーフみたいなんですが(ロシア人とのハーフらしい)。そしてハスキーな声というのも共通していました。
さて、「独立戦争」と「メリーゴーラウンドに乗ってる君のことが好きだよ」、あなたが今聴きたいのはどっち??


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