どっちの歌謡ショー

テキスト&イラスト・芦之由
2004/10/19

対決002:キスは少年を浪費する vs SWEET&TOUGHNESS

2曲の隠れた名曲を対決形式でリコメンドしていこうというこのコーナー「どっちの歌謡ショー」。第二回は実力派ダンスグループ・アイドルによるダンスサウンド対決です(なんか前回とテーマの方向性が違うような…)。

セレクトしたのはこの曲っ!
キスは少年を浪費する(東京パフォーマンスドール)
 VS
SWEET&TOUGHNESS(南青山少女歌劇団)

キスは少年を浪費するジャケットキスは少年を浪費する
東京パフォーマンスドール
作詞:売野雅勇 作曲:小室哲哉 編曲:小室哲哉
6thシングル EPIC/SONY
1993年5月21日
[→amazon商品ページ]

 

SWEET&TOUGHNESSジャケットSWEET&TOUGHNESS
南青山少女歌劇団
作詞:井上秋緒 作曲:浅倉大介 編曲:浅倉大介
5thシングル FUN HOUSE
1993年6月25日
[→amazon商品ページ]

 

90年代を代表する実力派アイドルグループによるダンサブルなナンバーの対決。そして、小室哲哉と浅倉大介の師弟対決でもあります。

■知名度ではTPDかな。まずはグループ紹介対決!

○知名度ではなんといってもTPD(東京パフォーマンスドールをこう略す)でしょう。篠原涼子、市井由理(EAST END×YURIのYURI)、穴井夕子(プロゴルファーの横田真一の妻としても有名に)、仲間由紀恵が所属したグループの曲、聴いてみたいでしょ? もっとも仲間由紀恵は第二期TPDのメンバーで、この曲には参加していないどころか、TPDでのCDリリースもなく、目立った活躍はなかったようですが。
原宿ルイードというライブハウスを拠点とし、定期的なライブ活動で人気と実力を付けた、いわゆる「たたき上げ」のダンスグループ。そこらのアイドルとは違う、体育会系・実力派のアイドルグループなのです。

○体育会系なら南少(=ナンショウ・南青山少女歌劇団をこう略す)も負けていませんよ。なんといってもミュージカル劇団ですから。十代の女の子たちが放課後レッスンを重ね、学校が休みの夏休みなどの期間にミュージカル公演を行うというのが活動スタイルでした。劇団員にとってはまさに部活のようなもので、彼女たちの青春そのものといってもいいでしょう。
確かに出身者で知名度の高い人はいませんが、まあ芸能界ではなく演劇界の人たちですから(とはいえ、4期生の千葉紗子は声優として大活躍しているようです)。ミュージカル・アニーの主役出身の人がいたり、南少在籍時にして芸歴が10年以上の人もいたりと、まさに実力派のグループだったのです。

■ダイスケ的にはOK? 作家対決!

○「SWEET&TOUGHNESS」は浅倉大介の作・編曲。作詞は井上秋緒で、access、T.M.Revolutionでおなじみのコンビのようです。そんな、ダイスケ的にもALL OKなコンビによるこの楽曲は、デジタル色が強く疾走感のあるカッコイイ曲。TMネットワークのサポートメンバーだった浅倉大介は小室哲哉とは師弟関係のようですが、小室哲哉に倣ってかアイドルを初プロデュースしたのがこの曲(だったはず)。
ダイスケ的にどうかはともかく、ワタシ的にはこの曲で小室哲哉に並んだと思いましたね。これからは浅倉プロデュースの時代が来ることを予感させる、そんなすばらしい曲でした。メッセージソング風の詞もカッコイイです。

○「キスは少年を浪費する」は浅倉大介の師匠とも言える小室哲哉の作・編曲です。ちなみにこの頃はまだ作詞はしてなかったようですね。この曲も疾走感のあるカッコイイ曲です。当時の小室哲哉らしい曲ではあるのですが、ほかのアイドルに提供した曲よりもハードでクールな感じ。レイヴ・サウンドとかを意識しはじめたころなのかもしれませんね。
小室サウンドに売野雅勇の詞というのは珍しい組み合わせかも。さすがコピーライター売野雅勇、「キスは少年を浪費する」というタイトル自体がコピーになってますね。いろいろ深読みできそうなメタファー満載の歌詞も聴き所です。

TPD&南少イラスト

■特選フレーズ

○キスは少年を浪費する

私は君の罌粟(けし)の実だから
真夏が過ぎても夜更けに逢える

純粋なままではいられない。誰もが汚れながらも成長していく(少年時代を終えていく)。みたいなことを歌っているのではないかと思うが、いろいろ解釈できそうな文学的な詞です。

○SWEET&TOUGHNESS

“明日(あす)”は“いつか”のつなぎみたいと
怯(おび)えて“今”を無駄にしないで

前向き・ポジティブを歌っているのだが、押しつけがましくはない。がむしゃらというより自然体で肩の力の抜けたポジティブな感じが心地いい。

■おかしい応援団

○SWEET&TOUGHNESS

あたし、Livecalとか行ってたんだけどぉ。あ、Livecal(ライブカル)ってのはライブ+ミュージカルの略で、南少が定期的に行っていた歌とトークと寸劇(?)のイベントなんだけど。そこでTシャツ姿で彼女たちが歌って踊る「SWEET&TOUGHNESS」はカッコ良かったなぁ。まさに青春って感じでみんな輝いていたよぉ。(神奈川県・栄光のジャケット)

○キスは少年を浪費する

家が厳しくて、ダンサミ(ダンス・サミット=原宿ルイードでの定例ライブ)は行けなかったんだけど(ライブハウスは不良の行くところだから)、「HYU HYU」(TPDのレギュラー番組)とかで応援してました。「キスは少年を浪費する」は、世間の注目度とかも含めてTPDのブレイクポイントだったのかもしれませんね。彼女たちの歌って踊る姿は、見ていてワクワクしました。(東京都・勝手に!ヤギタマイ)

■Google検索結果数対決

「キスは少年を浪費する 東京パフォーマンスドール」での検索結果:134件
「SWEET&TOUGHNESS 南青山少女歌劇団」での検索結果:59件

■ファイナルリコメンデーション

○キスは少年を浪費する

まさにパフォーマンス・ドール、ライブで鍛えたドールたちのパフォーマンスをぜひ感じて下さい。ノリノリの踊れる曲でありながら、難解な文学の香りのする詞の乗った奥深い曲です。今でも十分踊れる曲ですよ。DJのあなたも要チェック。何度もループで聴きたくなる曲です。

○SWEET&TOUGHNESS

ミュージカルで鍛えた少女たちの、ユニゾンボーカルをぜひ大音量で聴いて下さい。そして、このシンクビート(SYNC-BEAT=当時浅倉大介はaccessのサウンドをこう称していた)にシンクしてください。さらに、この曲をiPodにシンクしてください(シンクつながり)。
聴いた後、何か新しいことを始めたくなるような、そんな前向きになれる曲です。

そんなわけで、今回のプレゼンテーションはここまで。同時期にリリースされたデジタル色の強いダンスミュージックなこの2作品は、今でも色あせない曲です。さて、「キスは少年を浪費する」と「SWEET&TOUGHNESS」、あなたが今聴きたいのはどっち??


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